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ガーデンスタイリング

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専門家吉谷桂子のガーデンダイアリー ~花と緑と豊かに暮らすガーデニング手帖~

庭は、歩くことで展開する絵巻物..そしてその主人公は..

吉谷桂子

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今年の7月のツアーで最初に訪ねたのは、18世紀にウィリアム・ケントが設計した

ラーシャム。風景式庭園です。

Rousham | House & Gardens

私はこれまで、風景式庭園と言うと「一枚の絵のように美しい眺め」ではあるけれども

絵を一枚見たら、それで終わり。的な捉え方をしていて、確かに美しい景色だけれども、

それを1時間も2時間も眺めていたいかと言うと...

美しい景色。確かに5分ぐらいは見ていたいものです。何分とか、具体的に言うとそれも、おかしいですけれど。

そして愚かな考えですが、自分の庭の仕事にはあまり役立たないと思っていたというか....

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「まるで18世紀イギリスの風景がコンスタブルの絵のような...」と思っていました。

↑コンスタブルの絵画。全く美しいです。

でもそれ以上のボキャブラリーが出てこないというか。

当然、素晴らしさはわかっているのですよ。でもね 

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しかし、ウィリアム・ケントの革新は、庭を歩く人の時間と身体感覚によって完成する連続した体験だと。

いわば「絵になる場面を、歩くことで次々に発見していく庭」なのであると。

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それを教えてくれたのが、今回、私たちをラーシャムの庭に案内してくれたリズ・ニコルソンさんでした。

SNSには散々書いていたのですが、この3月に福岡フラワーショーにおいて

100年以上にわたる研鑽を積んだ王立園芸協会 RHSの完全なるコンテストの審査方式を

RHS理事の、リズから学び、私たちは、この3月三日間もずっと一緒にいたものだから

7月にイギリスに来るなら必ず連絡するようにと。

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お招きをいただいていた。そして、めったに走ることのない大型バスがこのお城に向かう途中を

たまたま、リズ。用事があってこの近所を車で走行中に私たちのバスを見つけ追いかけてきてくれた。というわけ。

そのサプライズから、彼女にこの庭を案内していただくと言う幸運に恵まれた。

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イングリッシュガーデンは、回遊式、散策しながら、変化する景色を楽しむ。

そんな事は、昔から(30年前以上からは...)わかっていたつもりなのですが、

リズが徒歩でルートを案内をしてくれながら、景色の説明があったときに

にわかに目が覚めるような、はっとする瞬間があったのです。

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それによって目の前の世界が、一瞬で違って見えた。

そもそも、私だけだったら広大な庭園の目星もつけずに遠くに見えている坂道を登る気なんて..

私についてきてくれてるツアーの皆様。その場で各自歩いて行く方もいらっしゃったけれども約22名さまほどは

ツアー最初の1つ目の庭でもあったのでしっかりと私についてきてくれていました。

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...リズの後をついて歩く事は興味深々でしかなかったので、後から考えるとずいぶん息が上ったのでしたが

いつもは飛び出してくる、膝の関節痛の痛みも出てきませんでした。

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これまでの私は、ある種の園芸的な発見。どんな花が咲いてるとか、宿根草の様子など。

その植栽デザインのディテールに至るまで....添景物にしても、近くに見えるもの

特にやはり咲いている草花に目を取られることが多かったものです。

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でもここで見たのは18世紀からの時間の流れでした。時間の渦に巻かれる瞬間のようでした。

この水路も...200年と言うような時間を、水を湛えてきた。

遥か遠くのほうに見える川は、現在ポリューションに汚染された問題の場所であると。

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それに対して山の上にあるこの水を与える水源は清らかな湧水。と、伺いましたが

きっとこれはお掃除が届かないのでしたでしょう。

昔ここで貴婦人は泳いだりもしていたそうです。背後には、お着替えのための石とレンガの建物あり。

いわゆるべィジング、Bathing イギリスの皆さんは ニュートや藻でいっぱいの池で泳ぐのが好きなようなのです。

私は絶対にできません。昔住んでいたハムステッドの公園にもべィジングポンドがあり、夏は賑わっていましたが、沼みたいな感じで気持ちが悪いと思ったものでした。すみません!

何百年も前からここで清らかに湧いていたのよ。

そんなことを伺いつつ風景庭園の回遊は、今思うと夢のような時間でした。

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ケントの風景式庭園は、自然をそのまま放置するのではなく、地形、樹木、水面、建築、視線の抜けを精密に編集。

林を抜け、道がゆるやかに曲がり、池や川に出会い、橋を渡り、古典的な建築物を見つけ、遠景へと視線が導かれる。

その移動そのものが庭の物語になると..

これまで私は、こうした視点から庭を体験してこなかったかもしれません。

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いえ、そんな事はありません。

現に、今はもう見学ができませんが、北海道の恵庭にあった銀河庭園は

ウィリアムケントの発想の基本を行くイングリッシュガーデン。景色庭園でした。

でもそうした発想の庭を楽しむ人が、日本には、多かったとは言えません。

満開の、一面の花景色が求められました。

しかし、風景のために銀河庭園のヘッドガーデナーの山口さんとは、たくさんの花を植える計画だけでなく

この風景の中で、大きくなりすぎた木を調整したり、また別の木を移植したり風景の調整を繰り返していました。

しかしその点に関しては誰にも褒められることなく、密かな風景に対する情熱だったかもしれません。

ともすると樹木を切る事は、更新することも、否定されがちだったから。

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まさに、一枚の絵に見える空間。この景観の基本はイギリス人のバニー・ギネスさんが作りました。

どの空間に対しても素晴らしい秩序がありました。階段を降りていったり、右を見て左を見て。

踵を返して今来た方向を眺めるとまた新たな世界が見えます。

銀河庭園はは本当に素晴らしいガーデンでした。

閉鎖になって2年、閉鎖されたことが今も残念でなりませんが。これ以上に感傷的になるのも..ですね。

さて、実はこの北海道の銀河庭園では、私は、よくイベントを開催させていただいていました。

「フラワーハット」のイベントや、「ドレスカラーコード」のイベントなど。

秋の真っ赤なダリアが咲き誇る頃にはダリア色の洋服で集まろうといった類のこと。

今回のツアーで、そうした発想が、実はウィリアムケントの考える風景式庭園には

非常に必要だったのだと気づきました。というか、これまた私のツアーでは

ある程度のドレスカラーの事はいつも注意書きに入るので、皆様なかなか悩まれると伺っております。すみません

しかしこのツアーに参加してみると、それはよくわかることなのです。

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全く人のいない景色ももちろんそれなりに美しいのですが

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人こそが主人公なのです。上の写真は HA-HA を捉えたときの

HA-HA は、羊などの動物が屋敷のエリアに入ってこないように塀を設けるのではなく

障害物なしに風景がどこまでも広がるための工夫です。

この有名なHA-HAを撮影としようと思った際に、前方をいく私のツアーの皆さんがとっても素敵でした!

よく写真を撮ろうと思った時に、景色の中で人が消えるのを待って取ることもあるのですが

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人が入ってくれた方が、この時の瞬間の雰囲気や感情がビビッドに残る。

そんなふうに思ったものです。

庭の価値は「花が咲いているか」「建築が立派か」だけではありません。

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森の陰影、草地へ出た瞬間の開放感、水辺の静けさ、視線の先に現れる建築、そして遠景とのつながりが、散策者の感情を少しずつ動かします。

これは、現代の私たちが庭に求める癒やしや自然との接続にも通じる価値観ですが、ドラマの主人公になるような感覚とでも言うのでしょうか。

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リズが、みんなのアウトフィットが楽しい!、写真を撮らせて!と。

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私も何度かリズの姿を捉えていました。

「庭は、歩く人がページをめくる絵巻物である」

ケントの庭は、風景を眺めるための舞台ではなく、風景の中を歩きながら、

自分自身が物語の登場人物になるための舞台でもあったのです!次にガーデンに行く時はそういうつもりになってみませんか?

だからこその、ドレスカラーなのです!

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たまたま、ふと見たらツアーでいらっしゃっている方々が

あまりにも素敵だったので、写真を撮らせていただきました。

素敵な花を取るのもいいけど、こんな瞬間こそが、

いつまでもこのときの嬉しい感情をフレッシュの蘇らせてくれる最高の瞬間だったのです!

こんな写真を撮ったのはもっとたくさんありましたが

この瞬間のみんなに会いたい。そんなふうに感情が動かされる。

そんなことで、庭にまた特別な意味がでる。

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ラーシャムのあとは、リズが社長を務めるNICHOLSONS ニコルソンズ社(オーガニックな環境重視の

広大なガーデンショップとレストラン。ROSALA

https://www.nicholsonsgb.com

高速道路からも近いのでレンタカーなどでコッツウォルドを回ろうと思う方はぜひ訪ねてみてください。

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そして、リズに、なんと!

全員のランチをごちそうになって、(私の大好物 スモークサーモンや生ハムが並び

オーガニックなサラダの山!)その後、ガーデンデザインの事務所を訪問し、

もちろんガーデンショップはもちろんのこと

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ナーサリーもご案内いただきたくさんの勉強をさせていただいた。

その、素敵なショップではお買い物も止まらず....その後

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コッツウォルド・ラベンダー・ファームへ。

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ここでもやはり人物入りの写真の方が素敵でしたね〜!

さてさてドレス計画、楽しく悩みます!

また1ヵ月後8月27日からイギリス行って参ります。

次のツアーでは、グレイブタイ・マナーの食事会もあるので!


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吉谷桂子

英国園芸研究家、ガーデン&プロダクトデザイナー。7年間英国に在住した経験を生かしたガーデンライフを提案。さまざまなイベントや雑誌などに出演するほか講師を務め、著書も多数。また国際バラとガーデニングショウやレストランなどの植栽デザインを担当。2013年春にファッションブランド「Shade」を立ち上げた。


Instagram@keikoyoshiya 

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